再稼働

これまで自分が考えてきた精神論は全て間違ってる。勉強が大事とか、黙ってた方が良いとか、たかが口だけの評論で的が外れ過ぎていた。姿勢を最優先にして自分の行動を自然的に成長できる方向へ選択するよう変えていかなければいけなかった。 人として暗過ぎた。しかし、やはり何事にも慣れは必要で、今までの不健康な生活をいきなり全部解決するのは無理があり、地道にやっていくしかない。


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この業界はブラックが割とスタンダードで、社内外での業務的なコミュニケーションの透明度が低く、例えばクライアントに対してキャパと概算を提示する為に資料を用意する時、どの程度ハッパ掛けて誰を納得させて誰に責任を負わせるかという作業が必要経費にしては重過ぎる、技術を培うにしても実務ですら余計な手続きが多い、作品全体の出来よりもみんな気持ち良く仕事できるようにお互い気を遣おうねみたいな思想が優先順位にあるプロジェクトばかりだった。

技術的に純粋に尊敬できる人はいた。ただ、組織的に合理性はあっても人道的には理不尽だったりする事情であったり、誰が誰に対しても平気で嘘をついたり、どうでもいい悪口が絶えなかったり、んなもんバレねーんだから黙ってりゃOKみたいなノリで行われる契約違反や隠蔽を目の当たりにするのが日常になると、無意識の内に思考が暗い方へ寄って行った。


そういった社会的なマインドに対して虚脱した時に補ってくれる単発的な要素として、仕事の成功や金銭的な余裕や趣味が序列としては大きなものだったが、これが目の前の精神的な疑問を根本から解消してくれる事は無かった。
社会で必要なものは技術でも問題解決能力でもなく、メンタルだった。退職した後、会社では社会的な事柄は学べるが、感受性を保持したり見本になるような精神性を学ぶのは今の自分には不可能だと思い、暫くの労働を止めて休息を取る事にした。

良いプロジェクト・良い会社は良い作品を生んでいる限り必ずある。どうしようもない問題は確かに多く存在するが、それでもこの仕事は天職だと思えるくらい自分に合っていて、技術的な交流も盛んで、先輩は関係が良好な限りは自分の事によく気を遣ってくれた。ただ、何でもかんでも真面目にやると整合性が取れない事実に気付かず疲弊し、それを回避できるメンタルも持たず、愚痴に対して行動を起こす意思も無いのにわがままばかり言っていた自分が未熟だった。


一瞬でも気を抜くと現実に潰される。小・中学で勉強しないどころか学校もサボりまくり、下らない理由で高校を辞め、当然大学にも行けず、だからと言って特に何かに勤しんでいた訳でもなかった自分は、自分の何がどうなったとかのデータの問題ではなく、育んできた意識の蓄積が違う、これを適切にクリアしている人間より向上的なメンタルの練度が圧倒的に低い。
今この瞬間やる気があって、良い実績もできて、実力もそこそこ付いてきて、今の状態の意識を大事にすればいけると思っていたが、一般レベルでは触れられる要素は全く無いような人間が集まる場所には、比べ物にならないくらい楽しい世界が広がっている事実を認識できていなかった。


しかし!!!!!!!!!これからは、もう弱音は吐かない。常に前向きに過ごす。もう絶対に折れない。こんな所で停滞する事は二度と有り得ない。現時点の練度では恥ずかしくなるだけの事もとにかく練習して、手に入れられるものを少しずつ手に入れる。


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自分の評価基準は他人の反応に依存していた。これからは自分でそれを下す為に、自分を知る必要がある。


強いメンタルを身に付けるには一体どうすれば良いか?"強いメンタルになるしかない"。
実力を付けるには鍛錬する。高クオリティで継続的に鍛錬するには強いメンタルを身に付ける。そして遥か先に、頭の中で描いてるものを限りなく濃い濃度でアウトプットする事は可能なのかという疑問がある。これまでそういった期待を抱くことが怖かった。夢はあまりにも大き過ぎると現実的ではないと、しかしこれからは可能性を探り続ける。

自分が今どうすれば良いか全く分からなくなった時は自己否定をする傾向にあった。俺はクソだと。
だが、その状態の人間を大事に思ってる恋人として一旦置き換えて、私は何者なんだと悩んでる奴にテメェはクソだと言ったらそれはヤバいという話になり、自分を大切に思うなら罵倒するのを止めろと言われた。確かに・・・・その通りだと思った。自分だろうが他人だろうが、大切なものは大切に扱うものだ。

俺には生涯を掛けて守らなければならないものがある。この感受性である。絶対に腐らせてはいけない。リアルから離れた世界で感じられる生命を全て享受できるまで感受性を高めたい。あらゆる動植物とコミュニケーションが取れるようにしたい。キツいと思われようが全員轢いて俺は行くしかない。流石にもう明るくなると決めた。暗い気持ちで得られる快楽もあるけど、それはもう止めてスマイル全開でブッ飛ばすしかない。

人は変えようと思った時、本当に性格が変えられるのか。その答えは、マジで変えられると言っておく。だがすぐには変わらない。変わることは怖い。猫背の人間が次の日から急に姿勢が良くなる事は無い。実際問題この状態をフルタイムで継続するのはキツいものがある。自分が遊んでいるコンテンツが消化しきる前なのに次に行かないといけなくなったり、趣味が急速に変化していってるような違和感がある。


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自分の中に色んな自分がいる。暗い自分、明るい自分、冷静な自分、感情的な自分、ふとした瞬間でコロコロ入れ替わり、矛盾した思考が頭を支配する。会社員時代は先輩には憎悪を抱いていたはずなのに、今では感謝している。でも本当は憎悪しているし、感謝もしている。両方混在している。それを何かの理由を付けてどちらかの選択肢を思考に投影する。人間の脳は変な仕組みだ。暗い自分を遠ざけるには、明るい自分を近寄らせる必要があった。