チョコレートに舐められる


何というか、高級品、それを聞いただけで味わおうと身構えるものだけど、我々一般庶民からすると実際「おいしい」はもとより理屈ではないという認知があると思う、色々すっ飛ばして最終的に。


話は今年1月末から2月後半にかけて催された西武のバレンタインイベントまで遡る。市内ではお馴染みのユアーズホテル、エスポワールをはじめとする洋菓子店からデジレー、カカオサンパカ等の国外ブランドまで多数の出店があり、是非この機会にと沢山の人が押し寄せた。

何を思ったかこれに狂ったように通い詰め、とことん一人で贅沢してやろうとクッソ高いチョコを食いまくって財布をマッハさせていた。流石にどう考えてもイカれてた。
普段チョコレートという食べ物に馴染みはあれど特段深い思い入れもないというこの肥えない舌を唸らせたのが、ジャン・フィリップ・ダルシーのガナッシュ。いやこの表現じゃ美味かったかどうか分かんねえな。

このイベントで一番最初に買ったチョコでもある。クソ小さいし食い方なんか知らんからひと口で豪快に行った後は「ふ〜〜〜ん…………これが高級チョコ……………(思考停止)」とついてきた冊子の解説読みながら何とも普遍的な回答を出していた。美味しいかと聞かれれば美味しいんだけど、どう美味しいか解らなくて非常に困っていたらいつの間にか全部食ってた。この時はその程度の感想だった。


国内のものでは、べルアメール、神戸風月堂六花亭、ロイズのチョコを購入した。神戸風月堂とロイズ以外は取り寄せた。どれも奇抜で発想に関しては足り過ぎてるくらいなんだけども、普段食べるものとは一線を画した味わいなんだけども、何だか納得がいかなかった。もうちょっと調べ上げれば良かったなと思う。機会があれば日本有数のチョコを堪能したい。意外と言うと失礼極まりないが西洋菓子倶楽部と先のエスポワールの方がよっぽど美味しくて、近所にあるもんだからと、今まで変に意識した事はまず無かったから余計に驚いた。


海外のものでも特にイースクは印象的だった。マンゴーユズ、果実達がホワイトチョコで包まれているということで甘ったるさを想像させるけど全くそんな事は無い。ラ フェヴァリにもあったけど、生姜を使ったチョコも美味かった。何というかそのまんまの味がする…うわ今めっちゃ頭悪いぞ。そのまんまの味と言うとアレだけど、香り、基本的に香りだけなんだけど生の味がしてビックリするくらいチョコと合う。甘さが絶妙なラインまで抑えてあってとにかく口にしやすかった。
甘さ控えめであればとりあえず喜ばれる印象(俺も喜ぶ)だけど、ゴディバなんかは甘々な感じで、ダークですら口にすれば「うお甘っ」と顔をひきつらせかけるが、途端スーっと溶けてほんのり苦味が残る。嫌味がない。


あそこまでヤケクソにチョコに手を伸ばすのはあれで最後になるだろうが、今でもその味は鮮明に記憶されている。バイトの休憩時間に飛び出して、贅沢できるのは今だけだろうと勝手に思いながらニッコニコでビニール袋を引っ提げて持ち場に戻るその姿は、メチャクソ気持ち悪かったであろう…
それでも一番強く印象に残るのは、最初に食べたダルシー。当初はこんな高い金を出して食べるものなのかという最悪の疑問が付きまとっていたが、次へ次へと手を出す度に、あれがどれだけ美味かったのかを思い知らされた。ものすごく不思議だった。何故最後にもう一度買わなかったのか…





実はここからが本題である。
今日、一体どんな巡り合わせなのかゴディバのチョコを食べる機会が設けられた。ここまでは良かった。ひと粒500円だの何だの説明されながら食ったトリュフ、ピスタチオのチョコ、紅茶のチョコ、キャラメルのチョコ…ビックリするくらい美味しくなかった。そら当然美味いもんだと思って口にすると、えっ…あれ?としか浮かばなくて怖くなってくる。
水あめをそのままブチ込んだようなえげつない甘さがいつまでもまとわりついて正直一周しただけでもうキツかった。こんなん市販の板チョコの方がよっぽど美味しいわクソが。

いや本当、何が何だか分からないのでこんな記事を書いてるんだけども、もしかして俺の舌がおかしくなったんですかね?俺、死ぬんか…?