お料理上等


何があろうが毎日インターネットを利用している現代っ子だが、ネット飯含めネットにはものすごいアイデアで奇想天外な料理が出てくる。連日実験的な料理で9割方吐きそうになるものを錬成しているが、やはりこういうものを見ると惹かれる。
いや直接 奇想天外 料理 で調べるとsyamuのオリジナルメニューと何ら代わり映えしないレシピが出てくるが、どうしてそんなことをしたいかと言えば、幼い頃に食った美味いコース料理が奇想天外で知らない味で、それでも直感的に美味いと感じた味を忘れられないから。もちろんその味を再現するとか彷彿とさせたいとかは普通に考えても作っても無理、素材も手間も技量も違い過ぎる。基礎も応用も学んだ彼らだからこそできる芸当であって、レシピ本をなぞる事しか知らない一市民には何もかも遠い。それでも作るのは、まあいわゆる真似事をしたいから。アイデア捻り出して、新しい味を開発したい。クソ不味いものの中からたった1割美味いものを生み出したい。
流石に何も学んでいない状態では、よく聞く万年微妙なものしか作ってくれないお母さんと変わらないので向上心だけはある。ものや趣味を科学の観点で考察する本を色々漁ってた時にたまたま考えるきっかけである本(記事だったかな?)を見つけただけだが。

そこには分解について書かれてあった。ひとつは「料理の分解」、熟れ寿司(魚を米と塩で乳酸発酵させたもの)を食材と酸味に分解して、本来発酵で手に入れる酸味を酢で代用し、再構築する。そうして生まれたのが現代の寿司ではないか、と。確かに、例えば外国の料理を模倣して日本の素材で仕上げ、その料理が定着していくのはこの分解があるからこそだと感じた。
もうひとつは「素材の分解」と「調理の分解」。前者は食材の持つポテンシャルを抽出したり、または先程の熟れ寿司のように酸味という特徴を抽出して酢で代用する、ということ。後者は単純に、一緒に調理していたものを別々でやる、ということ。この2つを念頭に置いて調理したので、例として紹介する。


やったぜ。投稿者:変態糞素人コック(10月25日(水)18時22分)
昨日の10月24日にいつもの玉ねぎ(みじん切り)と今年我が家に来た新米の兄ちゃん(1合)と鶏(もも肉)の3つとそれ以外で県北にある家のキッチンで盛り合わせたぜ。
今日は明日が休みなんでスーパーで鶏もも肉とホイップクリーム(生クリームのお値段太過ぎ)を買ってから、滅多に人が来ない所なんで、そこで先にオリーブオイルで鶏もも肉を焼いてからやりはじめたんや。
鶏から出た油でニンニクと玉ねぎを炒めながら、いずれは米と鶏肉だけになり持って来た白ワインを少しずつ入れあった。
しばらくしたら、米がひくひくして来るし、白ワインのアルコールが出口を求めてフライパンの中でふつふつしている。
蒸発してくるアルコールに鼻の穴をなめさせながら、食材を炒めてたら、先に玉ねぎがわしのフライパンにグルタミン酸をドバーっと出して来た。それと同時に鶏肉もイノシン酸を出したんや。もうフライパン中、うま味だらけや。
複数の食材が出したうま味を木べらで回しながら米に塗りあったり、弱火で香りを楽しんだりした。ああ〜〜、たまらねえぜ。
しばらくやりまくってからカボスを入れるともう気が狂う程気持ちええんじゃ。
水分が飛んだ米ににお湯を半分突うずるっ込んでやると、米に染み込んで気持ちが良い。
半分残ったお湯もフライパンに突っ込んで鶏もも肉の機嫌を伺って居る。
うま味まみれの米を味見しながら、思い切り生クリームを入れたんや。
それからは、もう控えめに塩を振り、リゾットを皿に盛りまくり、二回もクミンパウダーを出した。もう一度やりたいぜ。
やはりリゾットは最高やで。こんな、変態リゾットを作ってみないか。
ああ~~早くリゾットまみれになろうぜ。

※訳
例えばリゾットを作る時に自分は必ずと言っていいほど白ワインを入れるのだが、そのアルコールを飛ばす作業も「分解」と言っていいだろう。炒めたニンニクと玉ねぎに米、オリーブオイルで予め強火で焼いてあった鶏もも肉を加えて、白ワインをようやく投入する。酸味と香りを印象付けて圧倒的な土台がここで完成する。加熱により玉ねぎのグルタミン酸と鶏もも肉のイノシン酸が分解されたものがここにて再構築され、その相乗効果によりうま味の完成度が上がる。
お湯を2度に分けてじっくりと米に水分を含ませる。ここまでの全てが米に染み込んだおかげで、あとの味付けは塩のみで十分になる。やはり、リゾットは最高やで。

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料理においての素材の特徴、メカニズムを分解という形で認識することで、従来の「これを入れるとこんな味になる」という解釈よりも幅がとんでもなく広がり、新しいアイデアと味へ導ける。多分本来はこれの前に分子ガストロノミーについてもっと理解を深めなければいけないから、うーん、勉強することがいっぱいいっぱい裕次郎